アスベスト(石綿)とは、耐熱性・耐久性・絶縁性などに優れ、加工しやすく安価なため、かつて建築資材や工業製品、断熱材などさまざまな用途で広く使われていた繊維状の天然鉱物です。
種類
アスベストは「蛇紋石族」と「角閃石族」という2つの鉱物グループに大別され、
主に以下の6種類が規制の対象となっています。
- トレモライト
- クリソタイル(白石綿)
- アモサイト(茶石綿)
- クロシドライト(青石綿)
- アクチノライト
- アンソフィライト
特性と用途
- 特性
不燃性(燃えにくい)耐摩耗性・耐久性が高い
加工しやすく、安価で大量生産が可能
繊維状で紡織性がある(糸や布のように加工できる)
耐熱性に優れている(高温でも変質しにくい)
曲げや引張りに強い(強度が高い)
耐薬品性に優れている(酸やアルカリに強い)
熱絶縁性・絶縁性が高い(断熱材や電気絶縁材として利用できる)
非常に細かく軽量な繊維で、空気中に浮遊しやすい - 用途
建築材料
吹付け材(耐火被覆、断熱、吸音目的で鉄骨や天井、壁などに使用)
スレート(屋根・外壁材)セメント板(内装・外装仕上げ材)
石膏ボード(壁・天井材)塗材(仕上げ塗材として)
工業製品
家電製品の断熱材や絶縁材・接着剤、パッキン、ガスケットなどの部品 - その他
自動車のブレーキ材やクラッチ材・配管の保温材やパッキン
船舶・鉄道・発電所などの断熱・防音材
アスベストは、これらの特性と用途により、20世紀中盤までに約3,000種類以上の製品に使用されてきました4。しかし、健康被害が明らかになったため、現在は多くの国で使用が禁止されています。
アスベスト調査とは
アスベスト調査とは、建築物や工作物の解体・改修工事を行う前に、その構造物にアスベスト(石綿)含有建材が使用されているかどうかを調べるための調査です。これは、アスベストの飛散による健康被害を防ぐために法令で義務付けられており、2023年10月以降は有資格者による現地調査が必須となっています6810。